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ヤドリウメマツアリの恒久的社会寄生

分類群:六脚類
ジャンル:生態

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矢印が指すアリだけ周りのアリとは別種なことに気が付きましたか?この矢印で差したアリはヤドリウメマツアリと言い、周りにいるヒメウメマツアリに寄生を行います。しかし、このヤドリウメマツアリはアメイロケアリと全く違う恒久的社会寄生という方法で寄生を行います。

ヤドリウメマツアリ(Vollenhovia nipponica)

ヒメウメマツアリにのみ恒久的社会寄生を行う。働きアリは存在せず、女王とオスのみ存在する。ヒメウメマツアリの働きアリよりも淡色であることと、胸部の幅が大きいことで区別できる。写真は女王で、体長2mm程度。

展示解説

 完全に巣を乗っ取るアメイロケアリとは違って、ヤドリウメマツアリは元からいた寄主の女王を殺しません。交尾を終えた女王はヒメウメマツアリの巣に侵入するのですが、ヤドリウメマツアリの体表の組成はヒメウメマツアリの働きアリに似ているため、攻撃されにくくなっています。さらに、ヤドリウメマツアリは卵や幼虫、蛹の匂いまでもヒメウメマツアリのそれに似せています。

 ヤドリウメマツアリには働きアリが存在しないので、卵からは女王とオスしか産まれません。 秋に新しく羽化したヤドリウメマツアリの女王の一部は巣の中でオスと交尾しますが、残りはそのまま冬を越します。冬を越した女王とオスは春に結婚飛行をして、また新たなヒメウメマツアリの巣を探して寄生します。

 このように、ヤドリウメマツアリはヒメウメマツアリのコロニーにこっそり居候し続けることで、全く働くことなく子孫を残す戦略をとっています。