なぜ働きアリは女王アリのために働くのでしょうか。そこには2つの説が考えられています。
真社会性といわれる段階まで発達した社会性を獲得した昆虫には、完全に子供を産めないワーカー(働きアリ、働きバチなど)が見られます。子供を産めないワーカーは遺伝子を後世に伝えられないと思われますが、どのように進化してきたのでしょう?
答えを投げかけたのがタイトルの2つの説です。血縁選択説では、ワーカーに注目します。 (ハチ目に限った)ワーカーからすると自分の子よりも、妹のほうが1.5倍多くの遺伝子を受け継ぎます。そこで、ワーカーは子を産まず、妹となる新女王の養育に専念しているといいます。一方で、親による操作説は女王視点です。女王からすると、多数のワーカー(女王の子供)を操作して、巣内の仕事に専念させ(ワーカーに産卵を許さない)、女王のみが産卵することが、女王にとって効率よく遺伝子を残すことに繋がるといいます。
ワーカーが自ら子を産む能力を放棄したか、女王による操作で産めないのか。今のところの検証では、前者が強く支持されています。