コムカデに着色したエサを与えると、体の色がエサの色になります。なぜでしょうか。実は、コムカデの食べたものが透けて見えているのです。
落ち葉などを食べていたのか、焦げ茶色の内容物が見えます。
複数の着色餌を用意した環境で飼育したヤサコムカデ属の一種です。餌を食べた順番が内容物からわかります。この個体は赤い餌を食べた後青い餌を食べたようです。
コムカデは色素を持たないため、食べたものが透けて見えます。着色した餌を与えればとても興味深い色のコムカデを観察することができます。しかしいったいなぜコムカデは色素を持たないのでしょうか。
実はコムカデは色素を進化の過程で失ったと考えられています。一般に色素は、鳥などの目の良い外敵から見つからないような色をまとって身を守るため、紫外線などの光を吸収してDNAを損傷から守るために役立ちます。ところがコムカデは非常に小さく一生を地下で過ごすので、目の良い外敵から狙われることもなく紫外線も浴びることもありません。そのためコムカデにとっては色素が不要となり、失われたのだと考えられています。
色素を失うという進化はコムカデに限らず、地下や洞窟で一生を過ごす動物でよく知られています。
ナミコムカデ属の一種