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節足動物は体の構造などから「鋏角類」、「多足類」、「甲殻類」、「六脚類」という4つの大きなグループに分けて考えられてきました。

分類学の世界ではそれぞれを亜門という階級で呼ぶことが一般です。

最近の研究による系統樹

この図は遺伝情報から推定された節足動物の進化の歴史を示しています。左側が過去で右側が現在です。

線で結んだ際に近くなるグループほど類縁関係が近いと考えられます。カブトムシなど昆虫は、クモやムカデよりもエビやカニに近いようです。

※この図はJC Regier et al.(2010) doi:10.1038/nature08742を改変したもの。

系統的な考え方(単系統と側系統)

見つけてくれてありがとう!ちょっと詳しい説明をします。

この図に基づくと鋏角亜門と多足亜門と六脚亜門はそれぞれ別々に1つの祖先から進化したと考えられます。このように同じ祖先から進化したグループは単系統群と言い、進化の歴史から見ても1つのグループとして認められます。

しかし現在の甲殻亜門は、汎甲殻類の祖先から進化した生物から、六脚亜門を除いたグループとなっており、このようなグループは側系統群と言います。これは進化の歴史から見ると1つのグループとしては扱えません。甲殻亜門は3つの単系統群に分けて考えるべきだということが、最近の研究で分かってきています。

※この図はJC Regier et al.(2010) doi:10.1038/nature08742を改変したもの。

展示解説

節足動物ではまず4つのグループを意識してみると理解が深まります。

クモやサソリは口元に餌を掴んだりするのに使う「鋏角」という1対の器官をもつことから「鋏角類(鋏角亜門)」と呼ばれます。例えばクモでは鋭くとがった牙が鋏角という器官です。

ムカデやヤスデはたくさんの足をもつことが特徴的であるため「多足類(多足亜門)」と呼ばれます。もちろん最も足の多い動物はこのグループから知られており、最大の記録ではギボウシヤスデ科の一種が750本もの足をもつとされています※Marek and Bond(2006)doi: 10.1038/441707aの記録。

エビやカニは硬い殻をもち、「甲殻類(甲殻亜門)」と呼ばれます。確かに硬い殻を持つものがたくさんおり、更に硬い石灰質の殻を発達させて固着生活を送るためにしばしば貝にすら間違われるフジツボなども含まれています。しかし逆に殻の柔らかいものもいて、甲殻類に寄生する甲殻類であるフクロムシと呼ばれるグループでは、風船のような見た目で柔らかい体をしています。

カブトムシやチョウは6本のあしを持つことから「六脚類(六脚亜門)」と呼ばれます。すべての昆虫が含まれるのはもちろん、コムシやカマアシムシなども含まれます。

どのグループも魅力的で、それぞれの体の作りを活かした見事な生き方がたくさん知られています。ぜひ4大グループの違いにも注目してみてください。